2016/10/31
100歳以上の長寿の人をセンテナリアン(百寿者)といいます。
更に、110歳以上の人をスーパーセンテナリアンといいます。
最期まで健康で、からだが自由に動かせて、自分の足で行きたいところに行き、自分の身の回りのことは自分でできる。
寝たきりにならず、ある日突然 「ありがとう。さようなら。」 と言って、人生を全うできることが理想です。(ぴんぴんころり)
そのためには、健康寿命をいかに保っていくかということが大切です。
NHKの特集で、「健康長寿」の番組を見ました。
興味深い内容だったので、ちょっとまとめてみます。
Contents
センテナリアンの老化を防ぐカギ
101歳の千葉県在住の田谷さん(和菓子屋さんの看板娘)の場合
田谷さんは、お店のレジ打ちから販売・包装まで手際よくこなされています。
食事は1日3回決まった時間に、野菜を中心に好き嫌いなく食べているそうです。
田谷さんの血液検査の結果(慶応大学広瀬教授が採血)
炎症レベル(CRP)が基準値の10分の1で、とても低いという結果が出ました。
炎症には、急性炎症と慢性炎症がある
急性炎症とは
●ばい菌や外傷などで組織にダメージが起こる炎症のこと
●一定期間で治癒
慢性炎症とは
●細胞が老化し免疫力の低下による弱い全身の炎症が起こる
●老化物の蓄積が炎症の引き金になる
●加齢とともに免疫機能が低下し、炎症の要因を取り除く機能が悪化する
これらの原因で ⇒ 糖尿病・動脈硬化・肺疾患・心疾患を引き起こす
老化を防ぐカギは、慢性炎症を抑えることだと言う研究結果が出ています。
慢性炎症を防ぐ方法は?
老化を防ぐカギ その1(腸内細菌にいい食事)
センテナリアンの多いイタリアのアッチャローリでは、魚や野菜・オリーブやナッツをふんだんに使った地中海食を食べています。
ボローニャ大学の研究チームが、欧州5か国約600人の高齢者に、1年間、地中海食を食べ続けてもらった結果、適切に食べた人ほど、慢性炎症のレベルが低くなったという結果が出ました。
地中海料理に含まれている●オメガ3脂肪酸●ポリフェノール●リコピンが、慢性炎症を抑える効果があると考えられています。
しかし、イギリスでは炎症レベルが変わらず、あまり効果がないという結果がでました。
地中海食は、すべての人に効果があるわけではないということがわかりました。
食事の効果は、国や人種・性別・ライフスタイルなど、いろんな要因で変わることがわかりました。
国によって変わってしまう原因は?
中国のセンテナリアンの多い地域では、とうもろこしがよく食べられていて、その人達の体から他の国や地域の人々からは見られない腸内細菌があることがわかりました。
また、腸内細菌は、長い間、食べてきた食事によって変わってくることもわかりました。
炎症を防ぐ効果のある食事をしても、国や地域によって結果が異なるのは、腸内細菌が関係しているのではないかと考えられています。
国や人種・性別・遺伝子の違いで、腸内細菌が異なり、食事の効果に違いが現われるということです。
結論は、地中海地方に住んでいる人は地中海食を、中国の人は中国食を、日本の人は日本食が、腸内細菌にとっては一番いいということです。
日本の発酵食品はベスト食!
●醤油 ●味噌 ●納豆 ●麹を含んだ食品
焼き魚や大豆・人参・海藻などをバランスよく食べること。
日本食は、慢性炎症のレベルを低下させる効果は絶大です。
老化を防ぐカギ その2(負荷の強い身体活動)
世界一男性の長寿率が高いイタリアのサルデーニャ島では、男性は
急こう配な地形を、一日に8km以上歩く生活をしているため、負荷のかかる動きが健康長寿に繋がっていると考えられています。
この地域のセンテナリアンの微小循環が活発であり、慢性炎症との関係が科学的に明らかになっています。
微小循環とは、毛細血管の中で起きている細かな血流のことで、酸素と栄養素を体内に送り込み老廃物を回収する働きがあります。
微小循環が活発であるということは、老廃物を回収する力が優れているということであり、慢性炎症を低下させることができるということです。
老化を防ぐカギ その3(炎症を抑える満足感)
105歳のアメリカ在住の理容師さんの例
理容師歴93年、今でも現役で軽快なハサミさばき!
お客さんとの会話や仕事の充実感から生まれる心の満足感も、慢性炎症と深く関係していることがわかりました。
満足感の調査
●人生の充実感 ●日々の幸せ ●今の自分を好きか? などのアンケートをとり、その人たちの採血もした結果、
満足感と慢性炎症との関係を示す CTRA遺伝子群 という遺伝子が発見されました。
CTRA遺伝子群は、ストレスを感じた時に働く遺伝子で、満足感を得ると働きが弱くなることがわかりました。
満足感の違いで、慢性炎症の進行も違ってくる
研究の結果、2つに分類された満足感の違いで炎症の進行度が違ってくるようです。
●快楽型の満足感
物欲・食欲・性欲・娯楽などの一時的な満足感
●生きがい型の満足感
社会に貢献する・人の役にたてるという満足感
生きがい型の満足感の方が、より慢性炎症を抑えることができるということです。
老年的超越とは
大阪大学の権藤恭之准教授が、15年前から70代~100歳以上の高齢者1500人以上から聞き取り調査を行い、「今の生活に不満はないか」など75項目の質問から老年期の幸福感の変化を探りました。
そこから意外な事実が分かってきました。80歳を境にして、身体機能の衰えが目立つ半面、今の生活を積極的に受け入れるポジティブの感情が芽生え強くなっていく傾向がありました。
なかでも、多くのセンテナリアンがありとあらゆることに幸せを感じる多幸感「老年的超越」を持っていることが分かったのです。
番組に出演されていた日野原重明さんは、現在105歳。
日野原さん曰く
「生きがいの感情は年を重ねるごとに上がってきている。
100歳を超えてから、人生の在り方がかわってきた。
心が豊かになり、大きな生きる力が与えられる。」
番組の最後に、年をとっても健康のまま活躍し、社会にも貢献し続ける『生涯現役人生』 プロダクティブエイジング を提唱されていました。
今日のひとこと
健康寿命を延ばすためには、●慢性炎症を防ぐ食事●適度に負荷のかかる身体活動●生きがいのある満足感 が、科学的にも解明されつつある重要なポイントであることを学びました。
日野原さんが最後に引用されていた「マルティン・フーバー」の一節が心に残りました。
『新しいことを 創めることを忘れない限り 人はいつまでも 若く生きることができる』