2017/03/03
晴海通りを隔てて、築地市場の横に位置する築地本願寺。
紛れもない日本の浄土真宗のお寺ですが。
外観から日本のお寺らしくない、インドやイスラムの異文化を感じる不思議な建物です。
探検する気分で、築地本願寺に足を運んでみました。
Contents
築地本願寺とは
♠東京都中央区築地三丁目にある浄土真宗本願寺派の寺院です。
♠京都の西本願寺が本山です。
♠1934(昭和9)年、伊東忠太の設計により建立されました。
♠2015(平成26年)国の重要文化財に指定されました。
築地本願寺の歴史
1617(元和3)年の創建当時は、浅草近くの横山町に第12代宗主(門主)准如上人によって浄土真宗本願寺派の「別院」として建立され、「江戸浅草御堂」と呼ばれていました。
しかし、1657(明暦3)年、「明暦の大火」(当時は「酉年火事」とよばれていました)と呼ばれる歴史的に知られる大火事で坊舎を焼失してしまいました。幕府の区画整理のため、もとの場所への再建が許されず、その替え地として用意されたのが、八丁堀の海上でした。
そこで佃島の門徒が中心になり、本堂再建のために海を埋め立てて土地を築きました。それが「築地」という地名の由来となっています。
再建されたのは1679(延宝7)年、「築地御坊」と呼ばれるようになりました。
このときの本堂の正面は西南(築地市場方向)に向いて建てられ、大きな屋根は江戸湊(みなと)に入る目印にもなっていたようです。現在もにぎわう場外市場のあたりは寺内町でした。
しかしその後、1923(大正12)年、関東大震災にともなう火災により本堂を焼失しましたが、東京(帝国)大学工学部教授・伊東忠太博士の設計により、1934(昭和9)年、現在の本堂の姿となりました。
この本堂の外観は「インド様式」の石造りとなっていますが、本堂内部のお荘厳は伝統的な真宗寺院の造りになっています。
2011(平成23)年、本堂および大谷石(おおやいし)を積み上げた石塀が国の登録有形文化財に登録されました。
2012(平成24)年、浄土真宗本願寺派の直轄寺院となったことにより、それまでの「築地別院」から正式名称が「築地本願寺」と改められました。
2014(平成26)年、本堂、石塀、三門門柱(正門・北門・南門)が国の重要文化財に指定されました。(築地本願寺HPより)
建築家 伊東忠太(いとうちゅうた)
●1867(慶応3)年11月、山形県米沢(よねざわ)に生まれました。
●1892年(明治25)帝国大学工科大学造家学科卒業後、1893年『法隆寺建築論』を発表。
●日本建築の源流を求めて中国、インド、トルコなどに旅行し、雲崗(うんこう)の石窟(せっくつ)を発見。
●日本および東洋建築史の学問的体系を樹立するなど、日本最初の建築史家として活躍。
●東大名誉教授、学士院会員、芸術院会員。1943年(昭和18)文化勲章受章。
●おもな建築作品に平安神宮(1895)、明治神宮(1920)、大倉集古館(1927)、築地(つきじ)本願寺(1934)などがあります。(日本大百科全書より)
伊東忠太は好んで建物の中に動物や怪獣、妖怪たちを取り入れた作品を数多く残しています。
築地本願寺にも、おもしろい動物たちがたくさん棲んでいます!
異文化を感じる築地本願寺
外観
1934(昭和9)年に建立された古代インド・イスラムの仏教様式の建築物です。
カルラ
広い中央階段の左右には、スフィンクスを思わせる背中に翼がある獅子が鎮座しています。
これは「カルラ」というインドの想像上の動物で、狛犬と同じ役割をはたしています。
スカイブルーの大きな扉と上部のモチーフ
黒い扉の上部は綺麗なステンドグラス
内側から見たステンドグラス
動物たちがいた!
建築家・伊東忠太は、幼いころから妖怪が好きだったとか!
レリーフ(浮彫)のほかにも、よく見るといろんな所に動物が描かれています。
仏教説話『三畜評樹』で知られる、鳥、猿、象がいます。
そのほかにも、馬、獅子、牛などがいます。
『三畜評樹』は「物事は全体を見渡すことが重要」という教えです。
階段の上から、鳥、猿、象 の順に並んでいます。
鳥は体は一番小さいが、空の上から全体を見渡すことができるということです。
パイプオルガン
本堂の3つの扉からなる出入口上部に巨大なパイプオルガンが設置されています。
お寺には珍しい、パイプオルガンです。
このパイプオルガンは、昭和45年に、ドイツで製作されたもので、2000本のパイプを持ちます。
築地本願寺オリジナルの設計とデザインです。
たとえば、左右に配置されたパイプは6つの山を描いていて、「南・無・阿・弥・陀・仏」の6つの文字を表しています。また、表面に並んだパイプの数は左右48本ずつ。浄土真宗の聖典にもある「四十八願(しじゅうはちがん)」を表しています。
本堂の中のシャンデリア
香炉をモチーフにした形とされ、大きいシャンデリアが9個、少し小さいシャンデリアが回廊に11個あります。
四神の装飾
四神(ししん)とは、中国の神話に出てくる、天の四方の方角を司る霊獣のことです。
東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武と呼ばれています。
四神にちなんだ呼び名は数多く使われています。
白虎隊、朱雀門、玄武洞、玄界灘など。
情報・アクセス
【所在地】
東京都中央区築地3-15-1
【本堂参拝時間】
4月~9月 6:00~17:30
10月~3月 6:00~17:00
【アクセス】
東京メトロ 日比谷線「築地」駅 徒歩約1分
(出口1を上がって左へすぐ。出口2からは地上の陸橋または横断歩道ですぐ)
東京メトロ 有楽町線「新富町」駅 徒歩約5分
(出口4から新大橋通りを進行方向・南西に進む)
都営地下鉄 浅草線「東銀座」駅 徒歩約5分
(出口5から晴海通りを歌舞伎座方面・南東に進む)
都営地下鉄 大江戸線「築地市場」駅 徒歩約5分
(出口A1から新大橋通りを築地場外市場方面・北東に進む)
今日の発見
日本のお寺のイメージとは違った築地本願寺の外観にびっくり!(^^)! まるでインドやイスラムの寺院のような建物です。
西洋風のステンドグラスやシャンデリア。中国の文化を取り入れた四神の霊獣。ユニークな動物たちの装飾やモチーフ。仏教寺院にパイプオルガン。それでいて本堂の中は伝統的な浄土真宗寺院様式。築地本願寺の探検は、新たな驚きの連続でした\(◎o◎)/!
築地本願寺には、まだまだファンタジーな動物たちが潜んでいるようです。パイプオルガンのコンサートもあるので。次回は、仏教寺院でパイプオルガンの荘厳な音色を体感してみたいですね(^^♪